児童養護施設から自立した話

児童養護施設出身の筆者が綴る大したことのない日常の話

卒業ソング

今年、コロナ休校の影響で、卒業式が短縮されたり、入場者を制限したりと、なにかと話題になっていますね。卒業生のための音楽特番とかがテレビで放送されているのを見て、ああ、まだ世の中捨てたもんじゃないな、と思いました。

 

 

 

さて、卒業式といえば、歌だな、と個人的には思っています。

旅立ちの時に歌う合唱曲がいくつかあり、学校でもよく歌われます。各アーティストも、卒業ソングと題した歌を持っていることが多いです。

(ちなみに私の大好きなコブクロも、今年「卒業」という曲を発表しました、本当にいい曲なので、勝手に宣伝します。「桜」「蕾」に匹敵するくらい、コブクロの良さが詰め込まれている曲だと思うので是非聞いてみて…)

 

 

私が初めて小学校6年生の担任をしたときです。

私はギター弾き語りが趣味だったので、卒業式の最後のホームルームで、歌でも歌って、思い出になってくれればな、と思っていました。

コブクロ「桜」もいいなあ。今流行りの曲でもいいなあ。何がいいかなあ。どんな歌だったら思い出に残るかなあ。いろいろ考えました。

「目の前の卒業生のために」

これだけを考えると、よくあるお祝いの形ではなく、私オリジナルのお祝いでないといけない!と思いました。

 

オリジナル?曲書くか!

 

ということで、卒業式2週間前から、クラスの子どもたち一人ひとりへのメッセージを書きながら、曲を書きました。

特に、歌詞にはこだわりました。メロディは忘れられても、言葉は残る。そう信じて、寝る間を惜しんで詞を書きました。

私がテーマにしたのは「道」です。「道」は「未知」と同じ音で読みます。一人ひとりがみんな違う道を歩みます。それは道無き道で、それは未知なる道でもあります。同じ道はひとつもない。そんな時に支えになってくれる言葉を綴りました。

でも、卒業式で歌うのは、保護者の手前、恥ずかしいかな、と思い、卒業式前日の最後の授業で、子どもたちの前で歌いました。

すると、子どもたちから「卒業式でも歌ってほしい。」とお願いされました。こんなに嬉しいことはありません。私は、その日家に帰り、何度も何度も練習して、卒業式に臨みました。

頼りない教師で、子どもたちや保護者にとって、良い先生ではなかったかもしれません。トラブルもたくさんありました。褒めたことも叱ったこともたくさんありました。いろんな思いが駆け巡っていました。

 

卒業式は無事に終わり、最後のホームルームで歌を披露して、その日は終わりました。あっという間の出来事で、当日のことはほとんど覚えていませんが、とても充実した1日だったことだけが感覚として残っています。

 

 

 

 

 

 

 

その1年後、私がその小学校から異動が決まった時、当時の卒業生から手紙をもらいました。そこには、私が作った歌の歌詞が書かれていて、「先生は、私にとって、最高の先生です。」と書かれていました。

 

教師になって良かった、と思えた瞬間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただの思い出語りでした。