児童養護施設から自立した話

児童養護施設出身の筆者が綴る大したことのない日常の話

施設出身の独り立ち〜切っても切れないお金の問題〜

いずれどこかでぶつかる壁。

「自立」

 

 

 

 

私たち施設出身の子どもは、施設を出たらその瞬間から甘えが許されない環境に置かれます。親に頼れないから。

 

 

「全部自分でやる」「親に頼れない」という2点が、施設出身者は大変な思いをするのです。

 

 

そもそもですが、施設にいる子は、虐待や貧困など、子ども自身ではどうにもならない問題のせいで、施設にいます。子どもに非はありません。施設に入所した時点で大人に嫌な思いをさせられ、心に傷を負い、なんらか心身に影響が出ている状態です。

そんな子どもたちでも、社会に出れば過去は考慮されません。他の普通の人とおなじフィールドで戦わなければなりません。

生活するためには、収入が必要です。お金がないと、そもそも生活できません。

 

 

 

私は、大学に進学しましたが、当然のことながら親からの経済的支援は望めません。学費の免除を一部貰っても、生活は自分で成り立たせないといけません。奨学金は借金。アルバイトもしなければいけません。講義とバイトを天秤にかけると、生活することがベースにあり、バイトが優先になることもありました。

私は教育学部でしたが、親を頼れず、経済的に困窮していたことから、大学4年間で取得できた資格は、卒業要件の小学校教諭免許(一種)のみ。中高の免許の教育実習に行くお金と時間を捻出できなかったことが原因です。

 

 

 

 

「自分で大学行くと決めたんだろ?それなら、自分の置かれた環境に文句を言うな。それはお前の努力が足りないからだ。」と言われれば、それまでです。

私自身、まだまだ努力の余地はあったし、死ぬ気で頑張れば、もっと色々な資格が取れたかもしれません。それは理解しているつもりです。

 

 

 

私が言いたいのは、施設を出た子どもが、必ずお金の面で苦労する状態が、昔からずっと続いていることが問題、だということです。私は幸い、友達に恵まれて、施設職員に恵まれて、教授に恵まれて、支援制度を紹介してもらい、なんとかかんとか卒業して仕事に就くことができました。それでも、これだけ苦労しているということは、もっとキツい思いしている人は山ほどいるはずです。心も体もお金も、もっともっと苦労している子もいます。

 

 

 

 

 

施設出身であろうがなかろうが、社会に出れば、1人の大人として見られます。それは当然だし、それがあるからこそ、こんな私でもそれなりの幸せを掴むことができました。

でも、それで納得して終わらせてはいけないと思っています。

 

どんな生い立ちでも、どんな困難があっても、すべての子どもに可能性をもっと与えることができる社会になることを願い、私は私の経験を伝えたい。社会が児童虐待に関心を持っている今、教育や福祉にもっと問題意識を持ってもらえるよう、当事者の声を伝えたい。

 

 

 

 

 

 

 

そのために、私はコエールに参加します。

より良い社会のために。

より良い未来のために。

 

 

 

 

 

下記リンク、よければ見てください。

Coyell コエール | 親ありき日本をこえる