支援の形って難しい~母子家庭の兄妹間の問題~
ある日、突然の電話で相談を受けました。
「長男が、4歳の妹に性的虐待をしたので、子どもに指導をしてください。」
結構キツい内容なので、翌日には面接を実施して、今後どうするかを話し合いました。
しかし、掘り返すと、いろんな課題が出てきます。母子世帯、生活保護、多子、異父兄妹、施設措置経験あり、母の精神的不安定、等々。
そして、性的虐待をしたという本人から出てくるのは、「そんなことはしていない」「お母さんが自分ばかり叱る」「お母さんは好きだけど、構ってもらえない」など、子どもとして生まれ持った欲求を満たしてほしいという訴えだった。
それを母にぶつけると、母は「まず、自分がしたことを反省してもらわないと、困ります。」と毅然と話す。
正直、母の主張が正しいか、子どもの主張が正しいかわかりません。虐待する親が嘘をつくことだって当然あるわけですし、それによって子どもに不利益をもたらしてはいけないので。児童相談所は警察ではありませんので、検証して事実確認をすることはできません。ただ、児相は子どもの主張をしっかりと聞くことが最重要で、そこから、この家庭は何に困っていて、どんな課題を抱えているか見極め、支援や指導をしていく次第です。
今回の件で言えば、
①母親は、指導を希望している
②子どもは、事実はないと否定している
③子どもは、母親からの承認を求めている
という3点から、「まずは、母子の関係性回復の支援を実施し、子どもが望むのなら、カウンセリングを入れる。」という結論に至った。
実際、この支援方法が正しいかどうかは分からない。母子の状況は、本人たちや関係機関からの聞き取りから推測したもので、実際に推測通りの事象が起きているとも限らない。しかし、そういう中で、支援をしていくのが児相である。
当然、母は納得しない。なんせ「この子は、妹に性的虐待をしたのに、指導をしてもらえない」からである。
そうは言うものの、母親の言い分だけを真に受け、子どもを悪者にして指導をすることも出来ないし、母親の言う通りに指導をしたならば、子どもは唯一の実の親に疎外感を受け、非行や不登校等、愛着障害、深層心理へのトラウマ等、二次的被害の可能性が高すぎる。そういったことを、心理士等と相談したことを説明し、親には一旦は納得してもらい、帰ってもらう。
後でネットで叩くんだろうな~。と思いながら。
少なくとも、私は、子どもへの支援を適当にするようなワーカーではありません。子どもの声を聴き、子どもの将来にとってプラスになる選択肢を与えているつもりです。その気持ちも十分保護者に伝えているし、所内会議の場でもしっかりと自分の意見を伝えているつもりです。
子どもと親の関係は、どのように作っていけばいいのだろう?
母子の関係、兄妹の関係、親族の関係、、地域、学校、行政、医療、福祉等々。
いろんな要素が入り込み、複雑に絡み合って、一つの家庭が形成されているから、それにメスを正しく入れることが出来ることも、多くはないだろう。児相で出来ることも限られているわけだし。
難しい…。
そういえば、今年7月4日にあるコエールのイベントに登壇しようと考えています。応募したら、オンライン面接をしてもらえるそうです。
わくわく
まじか、、。手が震えている、、。私なんかが行っていいものか、、。27歳だし、、。んー。私なんかが役に立つのか、、。 pic.twitter.com/xokvQMI2Ev
— ヨウ@児童養護施設から自立♯児童福祉司 (@Yo_eduwel) 2020年1月8日