児童養護施設から自立した話

児童養護施設出身の筆者が綴る大したことのない日常の話

虐待は、どの家庭でも起きるリスクがある

さて、本日は虐待について書こうと思います。私自身の経験と、児童福祉司としての所感をふまえて記事にします。

 

 

そもそも、虐待は、どの家庭にも起き得ることなのです。一見健全に見える家庭でも、この家大丈夫か?と思う家庭でも、虐待が起きることもあるし、起きないこともある。

 

勿論、一般的に「普通」と言われる家庭では虐待のリスクは少ない。たしかに、母子家庭だったり、生活保護だったり、ステップファミリーだったり、発達障害だったり、一般的に「変わった境遇」にある家庭の子どもは虐待に遭うリスクが上がるのは否めない。それは、児相で扱うケースを見れば、統計を取らなくとも理解できます。

しかし、だからといって、「親が立派な人だったら、虐待は起きない」こともないし、「母子家庭だから、虐待起きるかも」と一概に言えません。

 

 

私の場合、私が小一の頃から母子家庭だが、母親の精神疾患が悪化してどうにも出来なくなるまで、それなりに幸せに過ごせたし、少なくとも、そうなるまでの間、私たち兄弟は愛情をかけて育ててもらっていました。ただ、母が壊れて、結果として、「ネグレクト」という虐待を受けていたことになっただけです。

 

勿論、親から虐待を受け、保護され、施設や里親で育った子もいます。当然、虐待は、子どもに一切非はない。殴ったり、言葉で追い詰めたり、放置したりする親が悪い。

 

しかし、それが、「他所はそうみたいだけど、うちは関係ない」と思って欲しくない。どの家庭でも、虐待になってしまうことはある。そうなってしまい、掘り起こしてみると、原因が家庭の状況にあったというだけ。

 

 

 

私が言いたいのは、虐待はどこにでも起きるリスクがあって、虐待は、一個人の問題ではなく、社会全体が抱える問題だということです。

私の感覚で言えば、車で事故に遭うのと同列です。事故起こしたくて起こした人は(当たり屋以外)いません。でも、結果的に落ち度が何処かにあって、それが事故を引き起こしたというだけ。

 

 

 

よく聞く言葉は、「昔は叩いて躾けていた」です。そう話す時点で、リスクありますよね?だって、「叩いて躾ける」という方法を知っているわけですから。

「昔は原付のヘルメットはなかった」「昔は馬鹿してて、夜の国道を120kmで走ってた」というレベルと同じです。それで捕まらなかったという事実があるわけですから。繰り返す可能性ありますよね?

 

 

 

 

 

兎にも角にも、虐待はどの家庭にも起きるのです。じゃあ、どうしたらいいか?そうならないように、知識を得て、心がけて、万が一そうなったら周りが助けるだけです。社会や地域が、そういう認識を持てば、一時保護なんで乱暴なやり方しなくてもいいんです。

 

しかし、他所から見られることや、指摘を受けることをひどく嫌う家庭もあるのは事実です。

関わると面倒なことになる。みんな責任被りたくないから、その家庭の問題を解決したくない。でも、子どもは助けないといけない。子どもの責任は誰がとるのか?

 

だから、この時代には、児童相談所という機関が必要なのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

今日も一日疲れました。明日も頑張ります。