児童養護施設から自立した話

児童養護施設出身の筆者が綴る大したことのない日常の話

臨時教員時代


臨時教員とは

その名の通り

“臨時で雇われた教師”である

産休や病休で

誰かが抜けた穴に入り

埋め合わせをする

それだけだ

 


私は初めての職員室に

自分用のデスクを用意され

浮かれていた

 

 

 

結果から言うと

この1年間は非常に過酷だった

学級経営も

学習指導も

生活指導も

保護者対応も

私が知る限りボロボロだった

 

 

 

周りの先生方は

私をフォローしてくれた

最初は上手くいかないものだと

これがいい経験になると

でも私は

早く周りの先生に追いつきたかった

何度も指導書を読み繰り返し

教頭に指導案指導をしてもらい

頑張っていたが

私は何をしても上手くいかなかった

教頭にはしっかり指導してもらったが

毎日凹んでいた

気持ちを切り替えながら

楽しいことを見つけながら

一年乗り切ろうと頑張った

それでも上手くいかないことが続き

正直辞めようかと考えていた

 


しかし

私はこの年

臨時で働き始めた自治体で

採用試験に合格していた

だから

辞めることはなかった

私の自治体では

臨時講師を務めた学校に

新規採用されることはないからだ

学校が変われば

新たなスタートを切れる

そう信じて

ひたむきに努力した

 

 

 

私は

仕事とプライベートを

しっかりと分けて生活したかった

仕事のことは仕事で学んだ

私自身の強みを仕事に生かそうとしなかった

しかし

修了の前の日

ふと思い立って

学校にギターを持っていった

子どもたちの前で歌を歌った

今まで

あまり言うことも聞かなかった子も

悪戯ばかりする子も

大人しくてつまらなさそうにしていた子も

みんなが

私の歌を一生懸命聞いていた

拍手をくれた

 

 

 

 


そうだった

私が小学校の先生になったのは

あの子の言葉だった

「ヨウ君が先生だったらいいな。」

 

 

 

私は

子どもたちにとって

楽しい存在だっただろうか

先生で良かったと思える存在だったか

考えると涙が出た

単純なことだ

 


私がこの仕事を楽しまなければ

子どもたちが楽しいわけがない

 


新しい学校に行く前に

次への希望と今までの後悔が

押し寄せた

 

 

 

 


まだ

臨時採用だ

正採用では

私自身が楽しめるように

頑張ろう

 


こうして

短くて濃い1年間を終えた

 

 

 

さあ

本番だ